Phony PPLフォニー・ピープル

Profile

アーティストの最大の力は「自由」である。自由こそが、大胆不敵な5人組バンド、フォニー・ピープルの手法であり、主成分だ。ブルックリンの若手ミュージシャンの卵たちからなるこのバンドは、クラシック音楽の訓練を受け、偉大なアーティストたちの音楽に出会い、そして何よりも探求心と自己発見力の翼を子供たちに授けた両親の産物だといえる。タイラー・ザ・クリエイターやチャイルディッシュ・ガンビーノから賞賛を受け、エリカ・バドゥ、ジル・スコット、ザ・ルーツと共演し、これまでに多くのフェスや深夜番組での出演、またニューヨークの伝説的なジャズ・クラブ、ブルーノートでのレジデンスをこなしている。

リードボーカルのエルビー・スリーは、マンハッタン音楽院出身で、その魅力的なボーカルと、高度な視点と回顧から生み出される歌詞が魅力的だ。作曲家として研鑽を積んだアジャ・グラントは、共同作曲、鍵盤楽器、バンドのアレンジの多くを担当している。弦楽器はギタリストのイライジャ・ロークと、フォニー・ピープルのビジュアルアーティストでベーシストのバリ・ベースが担当。パーカッショニストのマフュー・バイヤス(父親は伝説的なズールー・ネイションのDJ ジャジー・ジェイ)は、このクルーの中心的存在だ。

高校時代に何度かジャムセッションを行い、様々なバリエーションを経て、自分たちのサウンドに磨きをかけ、今自分たちのジャンルレスなサウンドに誇りを持つ。ジャズ、ヒップホップ、R&B、レゲエ、ソウル、ロック、その他多くのサブジャンルを実験的に取り入れた音楽を長年にわたって提供してきた。ディスコグラフィーの宝石「Why iii Love The Moon」を収めた初の公式フルアルバム『Yesterday's Tomorrow』(2015)は、ニューヨーク・タイムズ、NPR、ローリングストーンなどから絶賛を浴びた。『mō'zā-ik(モザイク)』と題された彼らの次のアルバムは、300 Entertainmentから2019年にリリース。このアルバムは、各曲が他とは別の形と色を持ちながら、隣接してシンメトリーな魔法をかける一枚の芸術作品であることから、その名が付けられた。「Way Too Far」や「Before You Get A Boyfriend」といった曲は、このアルバムのダイナミックな性質を表しており、分類や時間を超越した作品群として確固たるものとなっている。

そしてこの秋、バンドのニューアルバム『Euphonyus』のリリースが決定した。バンド名と "euphonious "という言葉を掛け合わせたこのアルバムは、バンドと人々とのつながり(You - Phony - Us)と、"pleasing to the ear "(耳触りの良い)という言葉の最も直接的な定義によって表される二元性から名づけられたものである。バンドはこのアルバムで、それぞれの曲が提供する様々な感情の点と点を結ぶようなサウンドアプローチをとる。思わず踊りたくなるような活気に満ち、喜びを感じさせるトラックと、悲しみや哀しみ、そして欲望が込められた曲が同じ屋根の下に収まっているのである。『Euphonyus』への長い旅は、バンドが全国をソールドアウトにしたヘッドライニングツアーに乗り出した2019年に始った。2020年、ミーガン・ザ・スタリオンと共にNPRの人気企画 "NPR Tiny Desk "に出演した際、彼らのコラボレーション曲「Fkn Around」を試聴したところ、事態は急展開を見せ、最終的にはバイラル化した。その直後、COVID-19の流行が始まり、バンドのアルバム計画は遅れたが、ジョーイ・バッドアスをフィーチャリングした「On My Shit」をリリース。その間にバンドは、物理的に一緒にいなくてもユニットとして音楽を作る方法を学び、Zoomで画面共有によって作られた曲「Nowhere But Up」を生み出すことになった。2021年、世界が再び開き始めた頃、バンドは2022年のステージを設定するために再びツアーに旅立つ。パンデミックの影響でアルバムのリリースは予定より長くなったが、この3年間、バンドはニューヨークのそれぞれの自宅からロサンゼルス、フィリー、日本、ドイツまで、国内外にわたって曲を録音し、時間をかけてそれぞれのトラックを作り直し、再発明することが出来た。

フォニー・ピープルの言葉を借りると、『Euphonyus』は聴く者に「考えるな、ただ感じろ」と勧めている。ジョジョ、ケイトラナダ、レオン・トーマス、ドモ・ジェネシスなど多彩なアーティストをフィーチャリングした今作は、フォニー・ピープルが新しい時代への一歩を踏み出すのにふさわしい作品だといえるだろう。

WARNER MUSIC JAPAN SPECIALS