SKRYU
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SKRYUメジャーデビュー記念インタビュー Part. 1
2026.2.25
「理想郷は遠くじゃない」
最新EP『絶』に刻んだ覚悟と老後の物語
――今回のEP「絶」は、どのように制作が始まったんですか?
SKRYU:始まりは、3月に控えたZepp Tourが決まったタイミングですね。ツアータイトルを考えていたとき、直感でひらめいたのが“絶”だったんです。Zeppをもじっただけなんですけど、“絶”は“絶対的”みたいな強いイメージがあるし、振り切ってる今の僕にぴったりな気がして。そこから「絶Tour」と書いて“ゼップツアー”と読むんですけど、そこからが苦悩の始まりでした(笑)。
――EPに収録された楽曲のサブタイトルには、すべて“絶”が付く単語がつけられています。
SKRYU:絶が付く言葉を挙げていこうと考えて、最初に浮かんだのが絶叫だったんです。「ライブでみんなに叫んでもらえたらいいな」と思って、「Ahhhhhhh! -絶叫-」というタイトルにして1曲目に置くことにした。そこから全部の曲に“絶ナントカ”を付けようとしたら、2曲目以降、まったく思い浮かばなくて。
――“絶”縛りが足かせに?(笑)
SKRYU:まさに足かせでした(笑)。「うそやろ?」「1回白紙に戻します?」みたいな。でも、その曲のフックの最後に「まだ見ぬ絶景へ」と自然に書いてたんですよ。じゃあ最後は絶景だなと思って、EPの頭とケツが決まったという感じですね。絶景は「Shangri-La -絶景-」というタイトルにして、ラストに置こうと。
――「Ahhhhhhh! -絶叫-」のリリックは、カンフー、ゴルフ、野球、プロレス、バスケなどスポーツからの引用がちりばめられているのが印象的でした。イントロにも戦いに臨む雰囲気があります。
SKRYU:比喩は男の子のオモチャ箱みたいな感じですよね(笑)。まさにゴングを打ち鳴らす感じ。試合開始のような歌詞にしたかったんです。
――「Shangri-La -絶景-」は、本作のリード曲です。“絶景”という言葉からどのように発想していたんですか?
SKRYU:フックのメロディーを鼻歌で口ずさんでいるときに「向かうShangri-la」という言葉が聞こえてきたんです。シャングリラは理想郷という意味だし、さぞや絶景だろうと思って、このタイトルにしました。
――内容は、メジャーデビューにあたっての決意表明のように聞こえました。
SKRYU:その通りです。ヴァースでは、ここまでの道のりを歌ったんです。フック前の《「お願いだから行かないで」/君の気持ちも受け取って/世界の果てまで羽ばたいていく》というラインは、メジャーまで来た今だからこそ、世界に羽ばたく覚悟を示そうと。
――2ヴァース目には《「昔の方が良かった」って/君の気持ちはしまっといて/世界の果てまで羽ばたいていく》と出てきます。
SKRYU:実際には変わってなくても、メジャーに行くと“変わった”と見られることがあると思うんです。“昔の方が良かった”という声も出てくるかもしれない。でも、自分としては変わるつもりはないし、やってることも変わらない。めちゃくちゃ超スーパースターになりたいという夢もずっと同じだから、何を言われてもへっちゃらという覚悟はできている。「お願いだから行かないで」と言われても、その気持ちだけを受け取って前に進む。それくらい強い決意を歌ったんです。
――フックにはどんな思いを?
SKRYU:《夜行列車は街を抜け》という歌詞は、僕がサンライズ出雲という寝台列車に乗って上京してきた日の比喩なんです。最後のフック前にある《次の列車が来なくたって/地面を踏切るこの声で》というラインは、チャンスや運はいろいろあっても、最後に決めるのは自分だという思いを込めました。というか、ここまでそうやって進んできたんだ、ということを伝えたかったんです。
――《夜行列車は街を抜け》に続くラインは、《振り返る旅路に/思い出シャンパンゴールド》で締めています。
SKRYU:ここまでを振り返ったとき、思い出が一面に広がっている。そんなイメージで書きました。何が絶景かと考えたときに、これから向かっていく理想郷は確かに絶景かもしれない。だけど、そこに向かう途中でふと振り返ったときに見える景色こそが絶景なんじゃないかと思って。たとえばワンマンライブで一万人のスマホのライトが自分を照らしてくれる瞬間。それは、自分が歩んできた道のりが輝いているとも捉えられる気がして。
――これまでの成果が目の前に広がっていると。
SKRYU:あるいは地元に帰ったときに「お前、〇〇のテレビに出とったがや」と言われるのもめっちゃ嬉しい。つまり、絶景って目の前にあるものじゃなくて、自分の背後に広がっている景色なんじゃないかと思ったんです。
――自分が歩んできた道こそが絶景で、思い出はシャンパンゴールドに輝く宝物だと。
SKRYU:そうです。だから、最後のフックで《見渡す今に/宝物シャンパンゴールド》と、今見えてる景色を歌ったんです。ここまで歩んできた結果、すでに理想郷に立っているのかもしれないって。シャングリラは遠くにあるものじゃなくて、今自分が見ている景色こそがそうなんだという思いを書いたんです。
――“絶叫”、“絶景”の次に浮かんだ“絶”は?
SKRYU:「ピンクのワゴン -悶絶-」です。この曲は“サイアクの忌野清志郎”というか(笑)。“こんな夜におまえに乗れないなんて”なんですよ。
――やはり着想は、RCサクセションの「雨上がりの夜空」でしたか。歌詞に《君のラジオのBGM》や《感度ビンビン》、《ふっ飛ばすフルスロットルで》というフレーズが出てくるので、そうじゃないかと思っていました。
SKRYU:まさにそれです。めちゃくちゃインスピレーションを受けました。まず絶が付く言葉として、“絶倫”という言葉が自分っぽいなと思って、エッチな曲を書くしかないと考えたんです。《目的地にピットイン》という歌詞を、最後では《頂きにチャートイン》に変えて音楽的なニュアンスを出してるんですけど、“絶倫”だと語呂が悪いし、“悶絶”のほうがしっくりくるなと。
――じれったい感じも伝わりますしね。
SKRYU:そうなんです。そのあと、いよいよ“絶”がなくなって(笑)。次に作ったのが「スパンコールじいちゃん -輝絶-」なんです。
――輝絶と書いて“きぜつ”と読ませるんですね。
SKRYU:そこでもう白旗を揚げてるのがわかりますよね(笑)。“輝絶”なんて言葉はないんだから。この曲は今回のEPでいちばん苦労して書きました。フックのメロディーラインに、なかなか歌詞をはめられなくて悩みに悩んでいたんです。そんなとき、ふと「スパンコールじいちゃん」という言葉が降りてきて。この言葉はヤバいし、EP制作のルール違反だけど、「スパンコールじいちゃん」というワードから世界を広げていくことにしたんです。
――スパンコールじいちゃんにはモデルがいるんですか?
SKRYU:僕がめざすべき姿、という感覚に近いかな。若い子から痛い目で見られるような老害じじいになるべきだろうと思っていて(笑)。
――「昔は良かったんじゃ」と武勇伝ばかり話してるじいちゃん(笑)。
SKRYU:そういうコンセプトで、じじいになった自分をリアルに想像して書きました。《金のスニーカーでゴールデンステップ》《ダイヤの歯でシャイニングスマイル》と歌ってるんですけど、1ヴァース目では友達の遺影を金の額縁に入れている。2ヴァース目では嫁との出会いを書きつつ、嫁の遺影はダイヤの額縁に入れている。つまり、周りの人間はみんな亡くなってしまったという、悲しい結末なんです。
――孤独なんですね。
SKRYU:そうなんです。で、1、2ヴァース目は未来の話で、最後は現代に戻ってくる構成にしているんです。3ヴァース目では、スパンコールじいちゃんが雲の上から今の自分に向けてアドバイスをくれている。つまり、じいちゃん自身も亡くなっているんです。だから自分の中では、かなりエモエモソングなんですよ。
――ということは、最後に作ったのが「S+ -絶世-」になるんですね。
SKRYU:「S+」と書いて“エスプラス”と読むんですけど、この曲は絶世の美女をテーマにしたんです。好きになる女性って、やっぱり笑顔が素敵なんですよ。その笑顔を《Super Sweet Special Smile》と表現したので、曲名が「S+」。歌詞では《絶世のヴィジョン》と歌っていて、どんな絶景もあなたの笑顔には勝てません、ということなんです。そんな女性とこういうデートをしてみたいというラブソングですが、実はその女性はスパンコールじいちゃんの嫁さんじゃないか、という説もあって(笑)。
――後付けじゃないですか(笑)。
SKRYU:諸説ありですよ(笑)。でも、もしかしたら僕も、そんなS+な女性にもう出会ってるのかもしれない。そんな願望ソングなんです。
――ここからは収録順に各曲のトラックについて教えてください。1曲目「Ahhhhhhh! -絶叫-」のプロデュースはNoconocoさんが手掛けています。
SKRYU:メジャーから出る作品の1曲目は、借金まみれの時代から一緒にやってきたNoconocoさんと作りたいと思ったんです。これまで1曲目にはオールドスクールのラップが映えるようなビートを置いてきたので、ここでも変わらないスタンスを提示しておきたかった。あと、メジャーデビューというステージに上がることへの意思もポップに表現しておこうと思いました。
――2曲目「ピンクのワゴン -悶絶-」のイメージは?
SKRYU:プロデュースを担当してくれたmaeshima soshiさんは、僕の「Mr.Scandalous」や「クランクアップ」を手掛けてくれたダンスチューンのスペシャリスト。今回は「maeshimaさんの好きなように作ってください」とオーダーしたんです。そしたら「してやられた!」「こっちに来るんだ!?」って思って。
――どっちですか?(笑)
SKRYU:以前までは、おしゃれで由緒正しきディスコサウンドのような音だったのが、今回はめっちゃふざけに来たなと思って。でも、これは僕にめちゃくちゃ合うなと思って、結果的に「やられた!」だったんです。それに、こういう感じをファンのみんなも求めてるんじゃないかと思ったんですよね。
――このトラックを聴いたとき、サーカスのイメージが浮かびました。
SKRYU:サーカスもそうだし、2月にリリースなのに、めっちゃハロウィンじゃんと思いました(笑)。
――「S+ -絶世-」は、1曲目に続いてNoconocoさん。曲調は2ステップです。
SKRYU:これは唯一、プロデューサーのストックからいただいたビートです。Noconocoさんは定期的にビートを渡してくれる距離感の方で、「これ、絶対いいよね」と昔から温めていたビートなんです。聴き心地の良さを楽しんでほしいですね。
――続く「スパンコールじいちゃん -輝絶-」は、SKRYU名義では初めてとなるES-PLANTさんがトラックを手掛けました。
SKRYU:ES-PLANTさんはNoconocoさんの先輩で、ガチガチの師弟関係だから、これまでに何回かお会いしているんです。先日リリースされたISSEI「Perfect feat. SKRYU」でもご一緒させていただきました。
――曲調はニュージャックスウィング(NJS)ですが、チープな音が印象的でした。
SKRYU:あえて、そう作ってもらったんですよ。マジな方向にしないでほしいと思って。
――90年代のSMAPやSPEED、DA PUMPなどを彷彿させる、J-POP的なNJSというか。
SKRYU:そこは意図的です。可愛さとポップス味が絶妙なバランスで混ざった仕上がりになったと思いますね。
――ラストの「Shangri-La -絶景-」は、Shin Sakiuraさんがプロデュース。
SKRYU:Shinさんは、「超 Super Star」を作ってくれた、僕の人生を変えてくれた方なんです。これまで僕はBPMが早めのダンスミュージックを多く歌ってきましたが、「もしかしたら、BPMを少し下げたサウンドの方向にお宝が眠っているかもしれない」と考えて、Shinさんにお願いしました。そうしたら、あのフックのメロディーが一瞬で降ってきたんです。
――ポップなR&B/ロック系の曲調で、この曲にも「スパンコールじいちゃん -輝絶-」に似た懐かしさがありました。
SKRYU:そうなんですよ。今回のEPには、僕のルーツにあるY2Kあたりの音楽が出たような気がします。
――今回の5曲のうち、特に聴いてほしい部分や“パンチライン大賞”を選ぶなら、どこになりますか?
SKRYU:「Shangri-La -絶景-」の《きっと冒険の本命は》から始まる、細かく韻を畳みかける部分は、フロウありきだけど聴いてほしいですね。パンチラインを選ぶなら、「スパンコールじいちゃん -輝絶-」の《夕暮れの街に 爆音流して おやすみ代わりの ウェイクアップベイビー》ですね。これ、最悪じゃないですか(笑)。
――傍迷惑でしかない(笑)。
SKRYU:「ジジイ、そういうとこやぞ」と周りに言われてるだろうなって(笑)。もう情景が浮かんでくるんですよ。しかも前半では《明け方の街に 爆音流して 目覚まし代わりの シェキナベイビー》と内田裕也も入ってる(笑)。1日中チャリで街パトロールしててうるせえなって(笑)。
――いよいよ3月から「絶Tour」が始まります。どんな内容を考えていますか?
SKRYU:今回は、A・B・Cと3パターンのセトリがあるんです。1種類じゃ収まりきらないくらい人気曲ができてしまっていますから(笑)。しかも、AとBでは6割くらい変えている。CはAとBの幕の内弁当というか、いいとこ取り。今回のEP『絶』収録曲は、A・B・Cのどれでも披露しますが、それ以外は半分以上、曲目が変わると言っておきます。
――パフォーマンス面で期待してほしいところは?
SKRYU:切れ味が数段上がったSKRYUを見てほしいですね。もうスターですから(笑)。歌唱力もラップもピカイチのスキルを、当たり前のように見せつけたいと思います。
――そんなスターが今後めざす超スーパースター像とは?
SKRYU:「Ahhhhhhh! -絶叫-」で《あの体育館やドームだって射程圏内》と歌ったので、次は“競技場”ですね。ダッシュで向かうつもりなんで、付いてこられるヤツだけ付いてきてください!……なんて言っておきます(笑)。
インタビュー・文 / 猪又 孝
Part.2 へ続く