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SKRYU「絶(Zepp) Tour 2026」 at Zepp Osaka Bayside 千秋楽ライブレポート

2026.4.1

 SKRYUが自身初となるZeppツアー「絶(Zepp)Tour 2026」を完走。1か月で5都市7公演を回った全国ツアーの千秋楽を3月27日(金)、大阪・Zepp Osaka Baysideで迎えた。この日はメジャーデビューEP「絶」を中心に全25曲を披露。ところどころで楽曲をショートバージョンにして勢いを加速させ、MCもコンパクトに畳むことで、約2時間があっという間に終わる没入感の高いステージを展開。声を嗄らさんばかりの全身全霊パフォーマンスで満員のフロアを終始盛り上げ、会場を興奮の渦に叩き込んだ。

 SKRYUは、今回のツアーで「いと」「いろ」「ぜつ」という3種類のセトリを用意。「いと」と「いろ」は半数以上が異なり、「ぜつ」は両者のオイシイところを集めた内容となっていた。2日開催となった今回の大阪公演は1日目が「いと」、千秋楽が「いろ」。ただし、両日とも曲順を入れ替えるなど特別なファイナル仕様になっていて、計5種類のセトリでツアーを回ったことになる。

 初日の横浜公演でも披露された「いと」は、原点にあるヒップホップやストーリー性のある楽曲を並べた構成でラッパー・SKRYUの魅力を提示。対して「いろ」は、SKRYUの名を広めた人気曲やキャッチーなダンスナンバー、躍動感あふれるフロアバンガーを多く取りそろえ、SKRYUのエンタテイナーとしての側面を存分に楽しめる内容となっていた。

 開演1分前、DJブースにchakaがスタンバイし、Noconocoが制作したというツアー用BGMをプレイ。やがて場内が暗転し、劇場風のステージセットから放たれた真っ赤なライトがフロアを下から上へ勢いよく駆け上がる。同時にサングラス姿のSKRYUが登場。「調子はどうだーっ!今日はのどちんこがぶっ壊れるくらい叫べますかーっ!」と叫び、1曲目「ピンクのワゴン -悶絶-」から、SKRYUエンタメ劇場の幕が盛大に開いた。観客がリリックに被せる《悶絶!》《SK!》といったコールも特大で、ライブは初っ端から興奮度MAX。SKRYUは“スイッチ回せ大阪!”と歌詞を替えたり、「ホラ、叫べよ!大阪!」とアジって、フロアをどんどんヒートアップさせていく。

 2曲目「VIP」を終えたところで、「SKRYU、2026 Zeppツアー、千秋楽スタートだ」と改めて開幕宣言。「今日の俺の船に最高のヴァイブスで乗り込めるヤツはどんだけいますかーっ!」と煽って、ショートアレンジにした「One Shot」「Golden Time」を畳みかけ、一体感を高めていく。

 渦巻く会場の熱気に「最高じゃねえか」と切り出したこの日最初のMCでは、「全国7カ所、本気で歌ってきて、それぞれの会場に7つ、のどちんこを置いてきた」と挨拶。続けて、「今日、俺にのどちんこを捧げられる人はどんだけいますか?」と問いかけ、「まずは俺ののどちんこからやね」とマイクを外して地声で「アァァァァァー!」とシャウト。「Ahhhhhhh! -絶叫-」でも“手挙げろ大阪!”とフロアを煽り、その後、ポップな「MUNASAWAGI」「MOTEKI」へとつないで、場内のグルーヴを掌握していく。

 その後、「今日は全部の俺を観て欲しいと思ってます。テンションが上がっているところ、こんな曲でスウィートに揺れて下さい」という紹介から「しゅがふり」「S+ -絶世-」「Cheap Luxury」を披露。歌い終えたSKRYUが「今のはSKRYU、モテたいぜセクションでした」と戯けてみせる。そこから「いろいろなSKRYUを受け入れてくれるみなさんのおかげでSKRYUは幸せに歌っております。みなさんにはSKRYUのさらなる性癖に付き合っていただきたいと思います!」という言葉から始まった「Tight Skirt」と「タンクトップ・ランナウェイ」はファッションつなぎのようなセクションだ。ここで羽織っていたジャケットを脱ぎ、上半身タンクトップ一枚になったところで、最新EPの人気曲「スパンコールじいちゃん」へ。chakaがプレイするトラックは音源よりも低音が強調されていて、下半身を疼かせるような強靱なビートにフロアが揺れる。

 その後のMCでは「イヤモニを外して生の声を聞きたい」と観客に要求。イエーイ!とバカでかい声が返ってくると「あぁ、キモチイイ……」と悶絶し、場内を笑わせる。続けて、ツアーを周りながらブラッシュアップしてきたスパンコールじいちゃんのパーソナリティーがついに完成したと報告。SKRYUいわく、スパンコールじいちゃんの住まいは東京の“光が丘”。孫にゲンコツするときは“シャイニングジーザス”。乗る新幹線は“ひかり”で、撮り鉄でも乗り鉄でもなく時刻表マニア(“ダイヤ”が好き)。好きなお米は“こしひかり”で、好きな食べものは“シャインマスカット”。子どもの名前は“光太くん”で、同級生に元巨人軍・桑田真澄投手の息子がいるそうだが仲が悪いそう。なぜなら名前が“マット”だから。

 そんな小話のようなMCで場内の空気をやわらげたあとは、同曲の歌詞に“天を仰いで飲み干すワイン”という1節があることに引っかけて、スタッフにビールを注文。「今日は千秋楽ということで、一緒に乾杯といきましょう!」と叫ぶと、ビールジョッキ片手に次曲「居酒屋」をパフォーマンスし、「ジョッキ!」「美味しい!」「ドーピング!」という特大の被せコールで盛り上がる。そのビールを一気飲みすると、一息置いて「おはようございやす」とひと言。“待ってました!”と言わんばかりに場内の熱気が一気に上がり、大ヒット曲「How Many Boogie」へと雪崩れ込んだ。

 続く「上っ面☆本気DE☆LOVE」ではSKRYUがフロアに降りて、女性の観客に「どこから来たの?」とナンパ開始。既婚者と聞き、見事にフラれたSKRYUは「幸せになれよー!」と叫びながら次曲「GOKAICHO」へ。爽快なアッパーチューンに乗せて、不器用な男の葛藤を歌い上げていく。

 一転、その後のMCでは神妙な面持ちで、「メジャーデビューできたのはみんなのおかげ」と感謝を述べ、「どんだけ疲れてても、みんなの顔を見ると、心の底からエナジーが湧き上がってきます」とメッセージ。続けて「みんなの一人一人の顔が僕の歌う理由」と伝え、「みんなに向かって好きな歌をたくさん歌いたいし、一人暗い部屋で曲を書くのが大変だなと思う日々でも、目の前のこの景色を思い浮かべるとまだまだ歌わなきゃなと思う」と胸の内を打ち明けた。そうして場内にシリアスな空気が広がったところで、ピンスポットに照られる中、アカペラで次曲「Country Roads」がスタート。成功をめざして走り続けてきた自身の姿をエモーショナルなメロディーと歌声で浮かび上がらせる。さらに「めでたく夢の ETC を通過することができたら、今度は俺がみんなのカントリーロードをたどって迎えに行きたいと思う」と語り、自身の歩みを振り返るように「Screw Driver」「Mountain View」と連続披露。後者では観客がスマホライトでつくる光の絨毯がフロアにゆったりと揺れた。

 そんなエモい空気を振り払うように、その後のMCでは「俺はここって時ほどやらかす男。SKRYU、またの名をミスター・スキャンダラス!」と絶叫して、ライブキラーチューンの「Mr.Scandalous」へ。イントロで「俺を写しやがれ!日本全国を俺の噂でいっぱいにしやがれーっ!」と煽って、再び場内の熱気を取り戻していく。

 今回のツアーは動画撮影OKということもあり、ライブ序盤はスマホ片手にハンズアップする観客が多かったが、ライブが進むにつれ、SKRYUの渾身のパフォーマンスと渦巻く熱気で撮影する観客がどんどん少なくなっていったのが印象的だった。

 演奏後はツアーグッズを紹介するコーナーへ。この日は千秋楽ということで、グッズ紹介するのではなく、サイン入りの靴下やTシャツ、ハダカードなどを客席に投げ入れた。その後、改めて「みんなのおかげで本当に幸せな日々が続いています」と感謝のひと言。そして「初めて今日ライブが始まる前に悲しくなりました。クソ楽しい Zeppツアーが今日で終わっちまうからです」と語り、こう続けた。

「このツアーが終わったら、みんなに背を向けて走っていくかもしれない。俺の夢は超スーパースターであり、みんなに楽しいコンテンツを提供し続ける使命を担っていると思うから。でも、俺が本当に見たい景色は、走った道のりを振り返ったときに見える、みんなと目が合うこの景色なんじゃないかと思う。まだまだ見たい景色があるとか言っているものの、本当に見たい景色はもう目の前にあるんじゃないかなって気づき始めた。みんなと一緒に、このZeppツアーが終わっても、まだまだ一緒に見たい景色がある」

 そして、一呼吸置いて、「絶景」と次曲のタイトルをコール。「Shangri-La -絶景-」の歌詞にしたためた思いを一人ひとりにに伝えるように、ひと言ひと言を丁寧に歌い、ラップしていくSKRYUの姿が印象的だった。

 その後、ライブは必殺のキラーチューン「超Super Star」を皮切りにラストスパートへ。終盤ではタンクトップを脱いで上裸になり、フロア最前列にあるポールに立って全身を使ってフロアをアジテーション。観客がシンガロングする歌声は、続く「頃合いのいい頃に」でさらに大きくなり、会場がひとつになっていく。

 歌い終えたSKRYUに向けてフロアから「ありがとう!」「かっこいい!」という声援が次々に上がる中、ラスト曲へ。「最後の曲が終わってもまだ俺を呼ぶ声がする。それが再びステージの上に立つ理由。2026年、SKRYU、Zeppツアー。これにてクランクアップだ。俺にSKRYUという役割を与えてくれたお前ら!死ぬまでついてきやがれ!」とでっかい声でシャウトしたSKRYUは、最後の力を振り絞って「クランクアップ」を熱唱。観客もこの日いちばんの声援を返していく。そして、同曲のアウトロに乗せて「次のワンマンライブは8月29日、8月30日!ぴあアリーナでお会いしましょう!」と次回のライブをサプライズ発表。ボルテージが最高潮に達する中、SKRYUは「愛してるぜ、大阪!」と絶叫し、興奮で顔を紅潮させながらステージをあとにした。

 この日のセトリは、2〜3曲ずつの束になっていて、盛り上がりがピークに向かおうとする寸前で短いMCが入る構成。それが断続的に繰り返されることで、焦らしに焦らされたぶん、最後の「超Super Star」「頃合いのいい頃に」「クランクアップ」の盛り上がりが凄まじかった。フロアを昇天させ、大絶頂へと導くそのステージさばきは、まるでスゴ技テクニシャンのよう(笑)。その巧みなライブ構成力に感服した一夜だった。

 この日、ライブを終えたばかりのSKRYUに、今回のツアーやこの日の感想を聞くことができた。ステージを去る際、SKRYUの目にはうっすら涙が浮かんでいるように見えたが、舞台袖では思わずこみ上げるものがあったという。

「いやー、泣いちゃいましたね。メジャー1発目でキャンペーンに回ったり、いろんなことが一気に動き出したのがすごく新鮮だったんですよ。ただ、その中でツアー中に声が出なくなったりして、周りに気を使わせてしまった部分もあって。正直、きついなって思う瞬間もあったんですけど、最後終わったときにお客さんがめっちゃ沸いてくれているのを見て、こみ上げるものがありました。超スーパースターと言ってる俺を光らせてくれているのは結局、お客さんなんやなって。歌うだけでこんなに幸せなのに、その状況を作ってくれてるみんなに最後に感謝がドッと押し寄せてきた。みんなの愛をさらに感じたんで、もうひとつ上のスターになれるんじゃないかって思えました。

 今回、セトリの“いと”は、昔のヒップホップっぽい質感もあって、物語を紡いでいく感じにしたんです。“いろ”は、ライブ中に『ここはモテたいパート』とか言いましたけど、色気とか艶とか、そういう意味の“いろ”も入ってる。ただ、どっちも、最後に言いたいこととかやりたいことを詰め込んでるっていう意味では共通してるんです。

 今回のツアーのミソの曲はやっぱり『Shangri-La -絶景-』だと思ってて。曲でも言ってる通り、振り返ってみんなの顔を見る瞬間、それが一番の“絶景”なんですよね。あそこに一番伝えたかったことが詰まってる気がします。

 改めて今日のライブを一言で言うなら、またもみんなに輝かされたライブでした。超スーパースターは、みんなのおかげでここにあり。本当に、幸せな時間でした」

 

 SKRYUの次なる舞台は、8月29日(土)・30日(日)の2日間にわたって開催される『The Light』。初日は『PINK -Moonlight Paradise- with Secret Guests』、2日目は『SEPIA -Midnight Rendezvous-』とサブタイトルが付けられていて、異なる演出が用意されている。会場となる神奈川県・ぴあアリーナMMは、デビュー間もないSKRYUが2021年に参戦した「凱旋MCBATTLE」の初アリーナ開催地。そのときSKRYUは1回戦で敗れたが、その後の活躍はご存じのとおりだ。そんなゆかりある場所への凱旋というストーリーも胸を熱くさせる。果たして、どんなライブを見せてくれるのか。期待は高まるばかりだ。

 

 

文/猪又 孝

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