アーティスト「sombr（ソンバー）」（本名Shane Boose）は、自身のベッドルームに作った簡易スタジオを拠点にキャリアをスタートさせた。現在19歳の彼は、ニューヨークの名門校であり、映画『フェーム』の舞台としても知られるラガーディア高校でクラシック音楽を学びながら、日中は学校で勉学に励み、夜は独自の音楽制作に取り組んでいた。

同年代の高校生たちが運転免許取得や恋愛に夢中になるなか、sombrはロマンチックなインディー・ロックを録音し、自らのレーベルで志を同じくするアーティストを探し続けていた。パンデミック中には音楽制作が心の拠り所となり、その延長線上でメジャーレーベル内に自身のインプリントを設立。「Caroline」はリリース1週間で100万回再生を突破するなど、注目を集めた。

その歩みは、まさに“一世一代”と呼べるような軌跡である。クラシックボーカルを学んだ経験により、声を自在に操る術を身につけており、本人も「声こそが最大の武器だ」と語っている。

音楽的影響にはBon IverやPhoebe Bridgersといったオルタナティブ・ポップの巨匠たちがおり、代表曲「Caroline」や「Willow」はZ世代の“Sad girl”プレイリストに多く選出されている。2024年のEP『savior』では、インディー界における確かな存在感を示した。

楽曲制作や歌唱だけでなく、アーティストの発掘、プロデュース、流通、プロモーションといった音楽のあらゆる側面に関与しており、今後のさらなる飛躍が期待される存在である。

「自分のアートには魔法のような力があると感じている。きっといつか届くと信じているし、他のアーティストの後押しができるなら、それだけで十分に幸せだ」— sombr