ザ・コインロッカーズ

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4thシングル「仮病」オフィシャルインタビュー

2020.11.20

 2020年にガールズバンド・アイドルとして再編されたザ・コインロッカーズ。さあこれから、という時に発生した新型コロナウィルスの影響で先を見通せないなか、どうすることがグループにとって正しい道になるのか、どう進んでいけば多くの人に知ってもらえるのか。それぞれが悩み、考えながら、前を向いて歩み始めている。
 新しい彼女たちの最新デジタルシングルは「仮病」というセンセーショナルなタイトル。混沌としたこの世の中で、彼女たちは高らかに新しい救いの歌を歌う。逃げることも、一つの手段だと。とてもエモーショナルな楽曲で、彼女たちの新境地を見せてくれている。静かに続く楽曲は、やがて、聴く者の心の支えになっていくであろう1曲だ。




――今回の『仮病』は、これまでのザ・コインロッカーズにはないタイプの楽曲で、とても新鮮でした。逃げて、嘘を付くことも一つの手段だとするメッセージ性があります。

絹本
「タイトルを聞いた時は、正直、どんな楽曲になるのか想像ができなかったんです。仮病について不安に思っている主人公がいるのかな……? とか思っていたら、力強い歌詞がけっこうあって。エモーショナルな曲調に、熱い歌詞がすごく合っていると思います。いい意味で、曲調と歌詞のギャップがあって引き込まれていく曲になっています」

宇都宮
「私も、最初はネガティブな曲だと思ってました……! でも歌詞を読んで、時に仮病を使うのは、自分の意思を尊重するための手段としては大事なことなんだっていうことに、気づかされました」


――やっぱり、タイトルだけ聞いたらびっくりしますよね。

田村
「そうなんです。タイトルから想像していた歌詞の内容と違いすぎました。自分自身の体験を想像したり……過去の自分と照らし合わせて色々と感じられる歌詞というか、考えさせられることが多かったです」

下島
「こんなにマイナスなテーマを、肯定的にもっていく曲ってあまりないですよね。秋元さんって、本当にすごいなと改めて思いました。周りの人から頑張れって言われることは、けっこうあると思うんですけど、頑張ることってすごくしんどい。逃げてもいいよ、っていう言葉に勇気づけられる人は多いはずなんです。この曲は、新しいタイプの応援ソングだと思っています」

成澤
「たしかに新しいよね。タイトルで、こうやってストレートにマイナスなイメージの言葉を出していいんだ、って衝撃を受けました」


――たしかに、この歌詞を聞いて、一歩前に進める人も多そうです。

船井
「『仮病』って、学生生活のなかだけの話ではなくて、大人になっても使いたい時って山ほどあると思うんです。歌詞の中に『いい加減にもっとやってりゃ そんな意地なんか張らずに済むのに……』っていうフレーズがあって、私自身もちょっと楽になれた気がしました」


「私は学生時代から、しんどくなったり、人生で辛いことがあったらとにかく、頑張ってやってみようという思考だったので……苦しい時は仮病を使え、っていうのは一つの選択肢を指し示してくれました。これから壁にぶち当たった時、この曲に助けられる人がいてくれたら……みんなにとって、大切な曲になってくれたらうれしいです」

HANNA
「私自身は仮病を使ったことがなくて、なんで仮病なんか使うんだろう? っていう目線で歌詞を読んだんですけど『いつの日か狼少年みたいになってしまったとしてもやりたくないことはやりたくない』とか、この曲の主人公は、しっかり自分の意思表示をしていること、自分をしっかり持っているところが、すごくかっこいいなって思いました」

後藤
「使ったことないんだ……私は、あるんだけど(笑)。インフルエンザになって、3日目とかで元気になるでしょ? でも、お母さんが、おいしいものをいっぱい食べさせてくれるので、まだ頭が痛いんだよね、って甘やかしてもらったり……。でも、やっぱりどこか罪悪感は感じていた。悪いこととも思っていたんです。でも、この歌詞に出てくる主人公は、全肯定している。本当に新しい子なんだなって感じたりしました」


――たしかに「君」に影響をうけた主人公は、「人を騙せばいい」というくらい、吹っ切れています。誰かが自分の代わりに傷ついてくれればいい、とも……

松本
「私は、人に同調しちゃうというか、人に流されやすいタイプなんです。この中の主人公の一匹狼的なところに憧れる側なので、2番の歌詞にある『自由はいつも孤独と引き換えだと 君を見てて羨ましくなんてなれない』っていうところが、あ、分かる!って思いました。ストレートに『心が本当の病気になるその前に……』ってちゃんと言ってくれる。その言葉に救われる人はいっぱいいるはずなんじゃないかな? と思っています」

Яuu
「仮病なんて使うってありえへん、みたいな世間的なイメージを覆してくれる。別に仮病を使っていいんだよ、って手を差し伸べてあげる。そういう解釈を私もしています。私も高校の時は、相手の考えていることとか空気感とか分かっちゃうほうで、自然な感じで手を差し伸べてあげたりしていたので、多くの人の助けになればいいなと思います」

Emily
「逆に私は、歌詞がすごく言いたいことを言ってくれているなと思ったんです。やりたくないことは、やりたくないって言っていて。なんか、自分にも合っているなっていう印象を受けました。ある意味、自分が言っていることをそのまま書いてくれてる(笑)」

有働
「私も、何回か思ったようなことが言葉として並べられているなって思っていて。本当に貧血のフリをしながら保健室へ行ったこともあるし(笑)。やっぱり、やりたくないことをやりたくないっていう自分の意思をしっかり持つことが大事だって、改めて感じる部分がありました」




――今回『仮病』は、ドラマ『荒ぶる季節の乙女どもよ。』のエンディングテーマにもなっていますね。


「原作の漫画を買ったんですけど、私たちと同世代の学校が舞台ということで、ザ・コインロッカーズに合ったドラマだなって思って。ドラマも見たら、制服を着ていたり、ロケ地が学校だったりとか、青春感溢れる内容だったり……。最後、すごくいいタイミングで流していただいているんです。この曲が引き立つタイミングでかけてくださっているので、私たちを知らない方もこの曲いいやん! ってなるんじゃないかと思いました」

後藤
「最初にピアノの音がドラマで流れた瞬間、もう泣きそうになりました……。自分の音なんだな、って。ドラマの内容ととても合っていると思います」


――今回、サウンド面としては、徐々に盛り上がってくるようなエモーショナルな感じがすごく伝わってきました。

成澤
「今回は、完全なバラードでもないけど、割としっとりとした曲調になっています。今まで話してきた歌詞の力強さとは反した感じではあるんだけど、その分、歌詞がストレートに入ってくるんじゃないかなと思っています。ドラムでこういう曲をプレイする際に心がけているのは、魂を込めることなんです。シンプルで、音数は少なめなんですけど、盛り上げるところはバーンっていくみたいな意識は持ちました。3人いることで、その力強さがより出せたと思っています」

下島
「今回、ピアノから始まって、全体的にきれいなメロディーの曲になっています。その中でギターをどう活かしていくかを考えました。仮病を使ってもいいということを伝える重さを音でなんとか表現したいなと。歌やピアノがきれいなメロディーを奏でている中で、ギターの重みを聴いてほしいですね」

Яuu
「デモをいただいた時は、すごくシンプルな状態だったんです。私はバラード、特にこの曲は高音でも低音でもなく、真ん中の音がすごくきれいに入る曲やと思っていて。特にBメロには、そういうフレーズをたくさん詰め込みました。高すぎない、低すぎない、中音域のフレーズが寄り添う感じで美しくなるベース音に注目してほしいです」


――最初のピアノで始まるイントロは、とても印象的ですね。

後藤
「イントロでこの曲の世界観を出していくために、いつもより長い時間、イントロのために1時間くらいは繰り返し弾いていたかな。情景とか世界観をこのイントロに込められたと思っているので、そこに注目して聴いて欲しいです」

田村
「出だしが、本当にエモい! そこから始まって、キーボードは前作と同じで3人で弾いているんですけど、それぞれの音の聴きどころがある感じになっていると思います。曲の歌詞は重いけど、サウンドとしては軽やかさも感じられるように仕上がっていると思います」


――ボーカルは、今回、絹本さんとEmilyさんも入って新しい形になっています。

宇都宮
「今回はツインだけでなく、絹本とEmilyが入ってくれたことによって『夢がない僕が夢を見たんだ』では、明るめの声で元気さを表現していたと思うんですけど、今回は『仮病』ならではの、ちょっとしっとりとした大人らしさを彼女たちが表現してくれていて、コイロカとしては、今までにない仕上がりになったと思います」

絹本
「歌に関しては、この曲が私の中にすんなりと入ってきたんです。共感できる部分も多いから、変に自分を変えず、ストレートにそのまま歌うことができました」




――今回のジャケット写真は、絹本さんがフィーチャーされています。

宇都宮
「今回はデジタルシングルなので、ジャケット写真が一番の掴みになるので、理想的なものになったと思っています」

田村
「表情もいいですよね! なんか、暗すぎず、すがすがしい感じがします」

絹本
「仮病を使った時って、笑うっていう感じでもないし、だるそうにするっていうことでもないなと思ったので。なんとなくすまして、仮病を使って帰る時くらいの表情です(笑)」

下島
「私は、仮病を使って保健室へ行く時の顔かな、って思ったんですけど。よし、やるぞ今日みたいな」

成澤
「たしかに、堂々としている顔だよね。だって、頬にこんなにはっきりと仮病っていう文字もでているし(笑)」




――カップリングの『小田急線』も、景色が浮かぶような叙情的な歌です。ストレートな恋の歌ですね。

船井
「小田急線と聞くと、懐かしい気持ちになりました。1年前には、ずっと下北沢のほうでライブをさせていただいたことが思い出されて……。ストレートな恋の歌ではあるんですけど、私がレコーディングの時に歌いながら考えていたのは、やっぱり1年前に39人で過ごした思い出だとか、ファンの皆さんとハイタッチをした時の情景でした。私の思い入れとか感情のままにさらけ出して歌うことができたので、大事な曲になりました」

HANNA
「私も、一緒だった。私たちのライブが始まったのが下北沢だったので、それを思い出してしまって。最後のほうにギターソロがあるんですけど、曲の最初から1年間の思いを徐々に詰めていってから、このソロの部分で現在の私たちを表現してみたんです」

有働
「今回、ピアノバラードでレコーディングさせていただいたんですけど、ピアノソロ部分にも注目していただけたらうれしいです。この切ない恋の歌に寄り添うことを考えて弾きました。みんなで合わせた音もすごくいい感じになっています」


――今年の5月に再始動して、シングル、TikTokアルバムなど、制限があるなかで様々な活動をしてきました。新体制となってここまで振り返ってどうですか?

松本
「私自身、キャプテンとして新体制になってから、去年のことを引きずりすぎていた時期があって。自分たちの可能性ってなんなんだろうかとか考えているうちに、誰も受け付けなくなってしまって……でも、前回の『夢がない僕が夢を見たんだ』あたりから、梅雨明けして(笑)。だんだん、グループが前に行っているなって感じるようになったんです。『仮病』でタイアップもいただいて、これからが勝負です。より、みんな一緒に、一丸となってやっていかないといけないと思うようになりました」

Яuu
「まつりな、吹っ切れた感じあるよな。葛藤して答えが見つかったんだと思っています。この間のミーティングで全員が考えていることを話し合ったんです。そこで意思疎通が改めてできました。この子がこういうことを考えていたんだ、って知らなかったこともけっこうあって、いい話し合いだったんです」

有働
「その話し合いをきっかけに、次の現場で意識して行動できたりとか、いい方向に変わっていっていると感じています」

Emily
「この前、ちょっと演奏している動画を見ていたんですけど、演奏とかはまだまだだと思うんですけど、自分が言うのもおこがましいんですけど……みんな成長したな、って素直に思えました。バンドとして、アイドルとしてこれからすごい濃いグループになっていきたいと思っています」

船井
「この半年、13人体制になってからライブができない日々が続いたんですけど、この期間に曲に対して向き合ったり、練習してレコーディングしてと作品作りにすごい力の入った半年間だった。力を蓄える時期だったんだと思っていて、みんなで飛躍するための準備期間として過ごしていけたと思っています。今回の『仮病』で、いい意味でイメージのギャップを見せられると思います。この曲で跳ねていきたいと思っています!」



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