前作 『ザ・レジスタンス』 から約3年…通算6枚目となるニュー・アルバム「ザ・セカンド・ロウ～熱力学第二法則」を
遂にリリースし、この最新アルバムが、見事オリコン週間総合洋楽チャート1位を獲得し、週間総合チャートTOP5入り(10月15日付)を果たした、地球サイズにおさまらない3ピース、無敵のミューズ！

そんな彼らは、先日ロンドンで開催された、アップル主催の音楽イベント“iTunes Festival 2012”に出演！
最新アルバム「ザ・セカンド・ロウ～熱力学第二法則」からの大ヒット・シングル「マッドネス ～狂おしい愛」などをパフォーマンスし、観客を魅了しました。そして、この“iTunes Festival 2012”のライブ・レポートを大公開！以下より、是非ご覧下さい！！！

Muse/ iTunes Festival＆Roundhouse,London :2012 9/30

ベテランからアイドル、トップ・バンドに旬な新人まで垂涎のラインナップを揃え、１ヶ月間にわたりひとつの会場で連夜フリー・ライヴが開催される年に１度の恒例のお祭り：iTunes Festival。６回目を数える今年もジャック・ホワイト、ノエル・ギャラガー、ピンク、ラナ・デル・レイらがロンドンっ子を湧かせたが、楽日のグラン・フィナーレを飾ったのはミューズだ。
　待望の６th新作『ザ・セカンド・ロウ～熱力学第二法則』発売前日という絶好のタイミングということもあり、建物や街路を浮遊するアルバム・ジャケットとバンド・ロゴのストリート・プロジェクションが長蛇の列を成した入場待ちの観客達の目を楽しまていせる。ライヴの場でいよいよヴェールを脱ぐニュー・アルバムと、ミューズの次なる離陸とを見守るスペシャルな一夜――何より、今やスタジアムかアリーナ、大フェスのトリでしか観れない彼らをキャパ3000規模のコンサート・ホールで目撃できる機会というだけでも実にレアだし、今回のツアー向けにデザインされたという逆三角形の特注LEDスクリーンは登場するのか？と場内の期待と興奮は募る一方だ。

　その期待を真っ向から受け止めるバンドにとっても、オーディエンスを前にしたショウへの復帰は１年強ぶり。その緊張と硬さは、新作のオープニング＝〝スプレマシー ～覇権の終結〟からキック・オフした演奏を力ませてもいた。だが、続く〝マップ・オブ・ザ・プロブレマティック〟でたちまち広がった力強くあたたかい手拍子の渦に支えられ、バンドはすぐにいつものケミストリーを取り戻した。〝パニック・ステーション〟の屈強なファンクに場内全体が熱くグルーヴし、ライヴで広がりとスケール感を獲得した〝アニマルズ〟、〝セイヴ・ミー〟は盤で聴く以上に映える。その〝セイヴ・ミー〟はクリスがリード・ヴォーカルをとる初のトラックだが、泣きのある美メロに向け、点火したライターを頭上にかざすファンも出るほど。アンプの脇に立ち、ギターに徹するマットにはライトすら当たらない。
　というか、〝パニック～〟、〝マッドネス〟など、新作からの楽曲においてプレイの見せ場は要点だけに絞り、歌唱に重点を置いたマットの姿は印象的だった。ソングライター／フロント・マン／若きギター・ヒーローとしてライヴではフル回転、常に最高のプレイを心がけているという彼だが、「押し」ばかりではなく「引き」の余裕も出て来たというところか。その余裕は〝タイム・イズ・ランニング・アウト〟を「2003年のダブステップ・ベースです！」と紹介したドムのジョークにも現れていたし、この曲での大合唱を軸にオーディエンスもパーティー・モードに突入。充電完了なエネルギーでガチンコに噛み合う演奏が前ツアー時以上の生々しさをもたらした〝アップライジング〟、ロック・メロドラマの竜巻〝プラグ・イン・ベイビー〟は彼らの独壇場だし、後半のハイライトはメランコリックな独唱からレイヴの躍動へ鮮やかにヒート・アップしていく〝フォロー・ミー〟。無条件な盛り上がりに、、老いも若きも両腕を宙に突き上げ踊りまくる、ミューズのライヴらしからぬ光景が生まれた。

本編ラストの〝～サイドニア〟、アンコール１曲目〝ニュー・ボーン〟で遂に猛烈なモッシュが巻き起こり、多彩なポップネスがショウ全体にもたらしたメリハリとＦＵＮばかりではない、ミューズの本領＝爆音ロック・バンドの破壊力をばっちり顕示。ラストのワン・ツー・パンチは〝スターライト〟と〝サヴァイヴァル〟で、前者ではお客のシンガロングを「ホー！　ホー！」のシャウトで存分に煽り、後者でギターを弾きながら練り歩きステージとフロアを完全に一体化させたマットのアッパーな牽引ぶりは堂々たるものだった。

　この晩のマットのコスチュームは、先だってのロンドン五輪閉会式で〝サヴァイヴァル〟を演奏した時と同じ黒のグリッターなスーツ。そのセレモニーでバンドが従えた大合唱隊の威厳に満ちた歌声、叩き鳴らされる透明樹脂製のグランド・ピアノ、火炎放射の連打……といったドラマチックな演出は今回のライヴには欠けていた。スクリーンに映像こそ流れたものの、噂の逆三角形ピラミッドは本格ツアーの開始までおあずけのようだ。しかし、スタジアム向けの大仕掛けやスペクタクルを取り払っても３人のタイトなミュージシャンシップが繰り出すダイナミズムと音楽そのものに宿るスケールはまったく損なわれず、掛け値なしの地力でステージは輝いていた。「現イギリス屈指のライヴ・バンド」の称号が、まだミューズの掌中にあるのを痛感させられるショウだった。

MARIKO SAKAMOTO









≪Muse/ iTunes Festival@Roundhouse,London :2012 9/30≫

1.Supremacy
2.Map Of The Problematique
3.Panic Station
4.Resistance
5.Supermassive Black Hole
6.Animals
7.Time Is Running Out
8.Save Me
9.Madness
10.Uprising
11.Follow Me
12.Plug In Baby
13.Knights Of Cydonia
**encore**
14.New Born
15.Starlight
16.Survival