「羊飼いの王様」とも称される、モーツァルト１０代における最後のオペラ作品 古楽器による演奏とアンサンブルの響きの美しさが際立たせたアーノンクールは、素晴らしい感興を与えてくれます。

時代考証の成果とモダン楽器オーケストラの高度な機能とを融合させた稀有の名全集。ナチュラル・トランペットの閃光のような炸裂も素晴らしい、編成をタイトに絞り込んだオケの機敏なサウンドが快感で、これらの作品につきまとう事大主義的な側面を除去して躍動と興奮にみちたベートーヴェン像を描き尽くしたアーノンクールのアプローチと、その要求に敢然と応えたヨーロッパ室内管弦楽団のスゴ腕ぶりは、もう見事の一言に尽きます。時代考証を採用したベートーヴェン演奏は現在では珍しくないとはいえ、その高い成果と、なによりも聴き手を理屈抜きで鼓舞して止まないという点で、この全集はまったく鮮度を失っていません。 「音楽とは聴く人を開眼させたり、激しく揺り動したり、さらには驚かせたりするために」存在し、時代考証であれ何であれ、自分はそのために必要なものを取り入れているに過ぎない、というアーノンクール自身の言葉をものの見事に具現化した演奏と言えるでしょう。（歌劇の「フィデリオ」は、収録されておりません）

クラシック・ファンを魅了した、かつてＬＤで発売された映像を、来日に合わせてＤＶＤ化！メイキングには、ベートーヴェンの交響曲第１番から第８番までの貴重なリハーサル・シーンとインタビューを収録！ 【祝！アーノンクール'06年来日公演】！